無趣味の戯言

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生きるのが面倒くさい人

こんにちは、だいちゃんです。

久しぶりの読書録は、岡田尊司 著「生きるのが面倒くさい人」という本です。

自身も悩んでいた経験があることや、現役の医者ということもあり、悩みに寄り添う姿勢を感じる気がしていて、岡田尊司氏の「 ストレスと適応障害 」という本を、昨年以前購入し読んでいました。

その本の中で「回避性パーソナリティ障害」という言葉を知り、より僕の状態に近いと感じたので、この本を読んでみたいと思うようになりました。

本書は全体的に、過去の人物で同症状だった人の話が多く織り込まれていました。星新一とか。

これは、著者はじめ、偉人から一般の人まで、いろいろな人が同じ悩みを抱えているよ、という気づきを与えて勇気づけてくれるためのものかなと感じました。

構成としては、前半に、回避性パーソナリティの特長についての解説があり、後半に、回避性パーソナリティとの向き合い方についての解説といった流れです。

生きるのが面倒くさい人 回避性パーソナリティ障害 (朝日新書)

生きることはめんどくさい

いやもうまじで生きることって何から何まで 面倒くさい ですよね。

僕は「面倒くさい」と思う側の人間なのですが、中にはそんな感情を抱かない人もいるかと思います。

さらに、「面倒くさい」と思う側の人たちも、感情の根源(面倒くさいと感じる理由?)は、人によって違うそうです。「面倒くさい」の感情がどこから来るのか、それには次の3つのファクターがあるそうです。

  • 自己愛性 =理想的な華々しい自分以外は無意味だと感じる
  • 境界性 =自分が存在すること自体に意味を見い出せない
  • 回避性 =自分への自信の無さや、人から馬鹿にされるという恐れから社会と関わることを避けようとする

この中でも本書は「回避性」に注目し、深掘りしていく内容となっています。

ただしこれはあくまでも特徴を分類したものなので、どれが良い、とかそういう観点では見ないほうが良いかと思います。

愛着スタイル

もう一つ、パーソナリティ(人格)を形成するのに重要な要素として、 愛着スタイル があるそうです。

愛着とは、オキシトシンというホルモンによって司られ(ツカサドラレ... 言いにくい)、 親しみ結びつき を生み出す、生き物にとって重要な仕組みです。 哺乳類全般に見られるらしい

仕組みとしては遺伝子レベルで生まれた時から組み込まれているのですが、放っておいても作動せず、スイッチを入れてあげる必要があるそうです。そのスイッチというのが、乳児期に親から受ける愛情なんだそう。

スイッチを入れた(乳児期に愛情を受けた)あとも、成長の過程で性質(型)が変化していき、成人する頃にはその人の愛着スタイルが確立され、以下に分類されるようです。

  • 安定型
  • 回避型
  • 恐れ・回避型
  • 不安型

中でも、「回避性」のパーソナリティを持つ人は、「恐れ・回避型」の愛着スタイルを示す人が多いそう。

この「恐れ・回避型」という愛着スタイルは、自分に対して否定的なイメージを抱いていて、本当は愛されたいのに、冷たい仕打ちが返ってくるのが怖くて、相手に近寄ることができないジレンマを抱えているそうです。

ちなみに似た名前の「回避型」愛着スタイルは、そもそも人と親しくなろうとハナから思ってないタイプの人が該当するらしいです。

何から回避しているのか

僕のように「回避性パーソナリティ」かつ「恐れ・回避型の愛着スタイル」を持つ人は、一体何から「回避」しているのでしょうか。

それはズバリ 羞恥心 です。

これは僕もなんとなく感覚的に分かってはいました。失敗しそうなことにはチャレンジしないし、成功体験がないと不安で仕方ないです。失敗すると分かっていることは、事前に誰にも相談せず、一人でこっそり失敗したいタイプです。

どうして羞恥心から回避するようになったのかというと、これまでの人生で、親の養育や学校の先生・友だちなどから嘲笑や叱責を受けた経験から、「ある行為がなにか不快な結果と結びつく」と学習した結果なんだそうです。いわゆるトラウマ。

トラウマといっても、大災害や事故のように、命や安全を極度に脅かされる出来事ではなく、比較的軽いストレスが慢性的に続くことを原因とするトラウマのことで、慢性的外傷症候群とも言うそうです。

僕の場合、あんまり具体的な記憶は無いのですが、小学校後半くらいから、ミスって恥ずかしいって感情はあった気がします。「比較的軽いストレスが慢性的に続くこと」が原因らしいので、そもそも具体的にコレ!といった記憶が無いのが普通なのかもしれませんね。

回避性パーソナリティ障害との向き合い方

ちなみに著者は、文中では「回避性パーソナリティ」というように、「障害」という言葉を外して遣っています。これは、障害と健常の区分ではなく、あくまで一つの特性・傾向であると理解する方が良いのでは、という考えるからなんだそうです。

さて、本書で取り扱われている回避性パーソナリティ障害は治るのでしょうか。

性格(人格)の問題なので、そう簡単に治ったりはしないですが、少しずつ現状を良くすることは可能だと著者は言います。「面倒くさい」が口癖で、様々な問題から回避してきた僕たちには厳しい答えですが、これが事実であることも薄々気付いていました。

そもそも自己啓発本のように「〇〇という成分を毎日摂ろう!」とか「鏡の前で笑おう!」みたいな提案が無いのが、僕が岡田尊司氏の本に惹かれる理由なので、具体的な解決策はあまり期待していませんがw

そもそも現状から変化することに強いストレスを感じるパーソナリティを持っているので、気づかないくらいゆっくり少しずつ変化させていくことが大切なようです。もしくは、近親者の不幸など、否が応でも現状が変わってしまったタイミングにうまく乗っかって好転するケースもあるようです(これは自分でコントロールできない事象ですが)

個人ではどうしようもなかったり、家族など周りの人の影響も大きいので、カウンセリングを受けてみるのも一つの手段として紹介されていました。こういうのは下手に手出しするより、プロに任せたほうが良いですよね。

とはいえ、カウンセリングもゴリ押しせず、こういう手もあるよ、くらいのニュアンスだったので、そういう姿勢な岡田氏大好き(笑)


自分の行動・感情の生じる要因を知れたのは良い機会でした。

結局のところ、流れに身を任せながら少しずつ変化するのを待たなければならないという、ある意味で救いを裏切られた気もしましたが、人生そんなもんですね。

自分に自信がないことが根底にあるので、うまいこと自信が持てるものと出会えれば... と願いつつ、こういう人生なんだとゆるい気持ちでなるべく自己嫌悪に陥らないようにしたいと思います。

レジグナチオン(ドイツ語で「諦め」の意)という言葉があったので、どっかで使いたいと思う今日このごろ。

生きるのが面倒くさい人 回避性パーソナリティ障害 (朝日新書)

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