無趣味の戯言

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【読書録】IT負債

こんにちは、だいちゃんです。

超久しぶりに読書録です。

本読みたいな、読まなきゃなと思いつつもなかなか出来ていなかったので、夏の読書感想文ということで重い腰を上げてみました。読み始めるまでが大変。

紙の本の方が読みやすいけど、置いておくとかさばるしなぁと二の足を踏んでいたのですが、意外と身近に「図書館」という解決策がありました(笑) ということで、読み終わったら返せばいいし、期限があるので読まなきゃいけいない状況も作れる上に、無料という、まさしく神サービス(図書館)を今回は利用しています。

IT負債


IT負債|室脇 慶彦|Amazon

今回は、室脇 慶彦著 IT負債 を読みました。

図書館の説明はさておき、本書には下記のような副題が付いています。

基幹システム「2025年の崖」を飛び越えろ

僕が生まれるちょっと前あたりから、多くの企業でコンピューターが導入されはじめました。その頃導入されたシステムが改修を重ねながら今もなお多く動き続けている現状があります。

それこそがまさに「負債」であり、その負債をどのようにして無くしていくかを「システムの構造」と「(特に経営側の)考え方」の2つの側面から考えさせられる一冊でした。

システムがどう変わるべきか

海外、特にGAFAを例に挙げながら、負債を無くす為にシステムの構造が辿るべき未来について、特に2つが印象に残っています。

マイクロアプリケーション化

まずは、「マイクロアプリケーション化」です。

機能ごとにアプリケーションとして確立させ、アプリケーション同士をAPIで連携させることで、リスク分散・改修コストの削減などが図れる、とありました。
現状は大きな1つのアプリケーションに様々な機能が内包されていることで、追加改修時にテストするための工数が大きくなってしまったり、障害発生時に全体がダウンしてしまう、などの課題がある一方で、小さい機能単位のアプリケーションごとにデータを持つ「マイクロアプリケーション化」を達成することで、ダウンした際の影響を最小限にできたり、個人情報も分散管理になり、セキュリティリスクも低減できるという事でした。

クラウドへの「シフト」

次に、クラウド化です。

何でもかんでもクラウドに移すのが良いとは思いませんが、コストパフォーマンスを考えたときにクラウドへの移行は賢い選択になると思います。しかし、クラウドへシステムを移す際の留意点として本書では「クラウドへの リフト ではなく シフト 」が必要であると述べられています。単純に現存のシステムをクラウドサービス上に展開するのではなく、クラウドの利点を最大限活かせるようなシステム構造へシフトすることが重要だという事でした。

(特に経営側の)考え方がどうあるべきか

変わる必要があるのは、システムだけでなく、それを利用する人々の意識も同じです。現代ではパソコン無しでは仕事が出来ないほどITへの依存度は高く、社会全体の意識が変わり、会社経営の形も変わる必要があると感じました。

現状の課題として、会社経営に深く強く影響しているIT技術ですが、同様に深い間柄のお金に比べて、経営者の知識・関心に温度差がある点を指摘していました。同時に、お金の責任者であるCFOと、IT技術の責任者であるCTOの格差についても言及されています。どちらも経営者がIT技術の重要性を軽んじていることの象徴のようにも思えます。

これは、経営陣の意識が向かないITに関する施策が、SIと呼ばれる外部企業主体で実施されることがほとんどである点にも繋がります。

今後、経営側には、ITの可能性と重要性を十分に理解し、関心を持ってスキルアップし、社内にIT専門の人材をより多く取り入れ、事業会社が主体となってSIerに発注できるくらいの改革が望まれます。

感想:変われるのかな?

意識改革、しかもIT人材だけでなく、社会全体の意識を変えていかなければ達成が難しそうなこの問題。本書を読んでの率直な感想としては、「変われるのかな?」でした。

お金をベースに比較される中で、直接お金を産まないIT部門に対して、人・金の投資がどこまで可能なのでしょうか。
また、止まったら苦情が出るけど、止まらないための投資はしたくないジレンマの中で、どうやってIT部門の重要性を認識させることが出来るのでしょうか。

一般企業だけの意識改革だけでは足りません。現状の構造の中で大きく成長したSI企業は、これまでの体質からの脱却は望んでいないように思います。

しかし、このタイミングで大きく意識の改革を行わないと、諸外国に比べて生産性で大きく差をつけられてしまう気がします。特に日本は労働人口の減少・高齢者の割合増加が喫緊の課題で、1人あたりの労働力を上げる事も重要な対策の1つになると考えます。

今後もITに携わりたい僕としては、自身も勉強を続けながら、重要性を認識してもらえるように精進したいと思わせてくれた1冊でした。

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